2013年9月23日月曜日

青山の魔宴 1 〜吟遊詩人による

お待たせいたしました!吟遊詩人さんから原稿が届きました。
いきさつについては、9/19の「秘密結社 月島ロケット」の回をお読み下さい。
送って頂いた原稿に、あおいみみずくが手持ちの写真を挿入させて頂きました。
連載回数は、4回〜5回を予定しています。
それでは「青山の魔宴」 お楽しみ下さい。


登場人物(筆者を除き登場順)
マリネリス:笛吹く社長
ギョーム・サボリネール:吟遊詩人
宝来ミナ:科学ジャーナリスト
テッツ・パーカス:正義の経理マン
さくら:若手女性エンジニア
あおいみみずく:筆者


あの夜、あおいみみずくは恐ろしい体験をしました。地下深い秘密の集会所での魔宴に潜入したのです。いまこうして無事帰還し、平和にブログを書いていられるのが何とも不思議です。いったいどうやってあの狂乱の場から逃れたのか、その過程が記憶になく、心がまだ静まりません。

そもそもの発端は、友人の中でも際だって妖異なる笛吹き社長マリネリスからの誘いでした。青山墓地の近くに面白い所があるから食事に行こうという赤い蝋で封印した手紙をよこして来たのです。あおいみみずくは、一瞬胸騒ぎがしましたが、好奇心に負けて出かけることにしたのです。あのような恐怖が待っているとも知らず・・・。


約束の時間少し前に指定された場所に着きました。そこは、ある要人の居所だというのですが、何となく変わっていました。立派な建築物ではあるのですが、全体が少し歪んだ感じがして、私達が習い覚えた幾何学とは異なる秩序を表していました。

そもそも玄関先からして異様でした。そこには巨大な蛇をかたどったようなオブジェが横たわっていたのです。まるでこれから入ろうとしている魔界への開口部を守護しているかのように。その、のたうつ姿は、今にも私達に襲いかかってきそうでした。

もっと面妖だったのは、この建物には私達が思う入口が見あたらなかったことです。先に玄関と書きましたが、何となくそこが玄関だと感じただけで、実際には平たい壁面が立ちふさがっていたのです。いったいどこから、どうやって入るのでしょうか。あおいみみずくは不安がつのってきました。


そこへ颯爽と登場したのがタキシード仮面、いやマリネリスでした。いつの間にか、その相方である吟遊詩人ギョーム・サボリネールも姿を見せていました。そして間もなく科学ジャーナリストの宝来ミナが現れました。筆者あおいみみずくを含め、これで4人揃ったわけです。

集まることになっていたのは6人なので、2人足りません。どうしたのかと心配していたらマリネリスのスマホの着メロが鳴り響きました。減七の和音を多用した不安をかきたてるような音楽で、どことなく悪魔的な旋律でした。その音を聴いただけで、私の不安はさらに高まりました。

マリネリスによると、招待していた経理マンのテッツ・パーカスが原因不明の急病で倒れ、病院に搬送されたということでした。会社でパソコンに向かって帳簿のチェックをしていた際、キーボードに顔をうずめて動かなかったそうです。

彼は真摯なる経理マンであり、不正を憎み、正義を貫く人間です。今回の集会にいてくれたら、襲い来る怪異をはねのけてくれたかもしれなかったのです。これは単なる偶然でしょうか、それとも何かの「意志」により彼の参加が阻止されたのでしょうか?

するとこんどは吟遊詩人ギョームの携帯が鳴りました。彼はマリネリスと対極にあるローテク愛好家で、未だに型おちの携帯電話を愛用しているのです。ギョーム曰く、若手女性エンジニアのさくらが業務多忙で遅れて来るということでした。
さくらの遅刻に関しても、何らかの邪悪な意志の力が作用していたと思いましたが、ギョームは特に変わった表情はしておらず平静でした。あるいは平静を装っていたのかもしれませんが・・・。


5 件のコメント:

あおいみみずく さんのコメント...

吟遊詩人さん
この度は素晴らしい原稿、ありがとうございました!
感謝感謝感謝です!
本当に素晴らしい妄想…いえ、想像力ですね。さすがです!ちょびっとホラー、未知、混沌、不思議とともに大好物です!

スナフキンIII世 さんのコメント...

大作の予感がします。

このあとの展開が楽しみです。

登場人物もこっていて、おもしろそうです。
名前なんかも、実にこってて素晴らしいです

それにしても、東京ど真ん中の青山にこんな恐ろしげなところがあるとは。

東京も奥が深いなあ。










ゲンゴロウ さんのコメント...

登場人物の名前、どこかで見聞したことがありそうでなさそうで、またどこか違ってろところがありそうで、不安を掻き立てます。あおいみみずくさんの写真も魔界の演出にピッタリです。仲秋の月にはススキと団子が似合いますが
深夜のビル街を照らす月には底知れぬ寂寥感と
絶望感があり、中世の魔女を思わせる供物と道具だて、入口のないエントランスなどこれまた
不安感を増長しています。ゲンゴロウも死の舞踏を背景にハゲ山の一夜を楽しみつつ、秋の夜
の夢を見ましょう。口上はこのくらいにして
早く第一幕を読みたいものです。

あおいみみずく さんのコメント...

ゲンゴロウさん コメントありがとうございました。
使った写真は、実際に「月島ロケット」の日に撮ったものなのですが、「深夜のビル街を照らす月には、底知れぬ寂寥感と絶望感があり…」のくだりは、まさにこの写真と私の感覚にピッタリのお言葉です!ありがとうございます!
ススキとお団子ー深夜のビル街…
共通するは煌々と輝く月。
人間の心は如何よう…

あおいみみずく さんのコメント...

スナフキン3世さん コメントありがとうございます。
「月島ロケット」の日にあった出来事が下地となっておりますが、登場人物も含めて今のところ 7割ホント、3割妄想といった所です。連載を重ねるごとに妄想部分が多くなり、最終回は妄想8割となります。因みに実際のレストランは、とても良いお店ですよ!是非行ってみてくださいね!
「青山で待ち合わせて、お店に入る。遅刻と休みの方、あり。」私が書くと、たったそれだけの話なのですが、これに1話費やすという…
注意力の差ですかね^ ^