2015年9月12日土曜日

一寸の虫にも‥

二週間ほどでしたが、毎日毎日 鳴いてくれていた鈴虫が、今朝は鳴きません。
昨夜、ギシギシ…という掠れたような音と共に、それでも懸命に鳴いてくれていたのに…
朝、水を取り替える時に確認したら、生きてはいるのですが もう手足に力が入らないのか、止まり木に這い上った…と思ったらコロンって水の入れ物の中に落ち、あっぷあっぷしていて…
慌てて救助したら 餌の上に行き、一安心。
ヨロヨロしているから 命の終わりは近いのかもしれません。

この鈴虫達は 二週間ほど前、お茶の先生のお宅からやって来ました。
お稽古の最中、庭にある腰掛けあたりから何とも良い声が聞こえて来て…。つい お点前の手を止めて うっとり聞き入ってしまい、
「なんて素敵な声でしょう…」
と 思わず口にしたところ、
「主人が虫の音を聞く会に入っていて、毎年たくさん育てているから、良かったら持ってらっしゃい。」
と、わざわざお子さんが使っていた虫かごを探し出してくださって、餌までつけて 快く分けくださいました。


本当のところ、これまでかなり小さな時分にはカブトムシか何かを飼っていたような覚えがあるのですが、このところ虫なんて怖いばかりで、どうして良いかわからず…
とりあえず水と、頂いた餌を取り替え、霧吹きで 土と止まり木を湿らせ 直射日光に当てず…
すると ここが気に入って良い気分なのか 大きな声で機嫌良く鳴くのです。
最初は玄関に置いていたのですが、人が出入りする度にパッと点く電灯にびっくりするのか パタと泣き止み…またしばらくすると鳴く…
玄関ではかわいそう…?と、寝室に持って行ったり和室に置いたり。虫かごを抱えてあっちこっち。
こちらの苦労がわかるのか、本当に美しい声で、もう休んだら?っていうくらい 鳴いてくれました。
頂いた最初はまだ子供だったのかな?ぎこちなくリーンリーンと、やっと2セット。
それが日に日に3セット4セットと増え、誇らしく高らかに。
でも、一週間を過ぎたくらいからだんだん雑音が混じるようになり、音もガサガサになって来て…。それでも諦めずに一生懸命鳴くのですよ。一昨日はガサガサな声で2セット。
もうダメかなぁ?って思ったら、昨日はガサガサな声で4セット!
そして今朝は鳴きません。
命ある限り その時にでき得る限り一生懸命歌い、最後まで懸命に生きて鳴く…
この世の全てのものに仏性があると言いますが、本当にこんな小さな虫の生き方にも思わず感動させられてしまいます。


小さな虫かごに閉じ込められていて、彼らは幸せなのかな?せめて最後に…今から外に放してやった方がいいのかな?でも あっという間に捕食されちゃうかな?
と 色々考え、それを思わず昨日いらしたピアノの生徒さんに話したら、彼はしばらく考えて、
「本来はこのままにして 死んでしまったら埋めるのでしょうが、宮沢賢治の銀河鉄道の夜でしたか…サソリのお話もありますしね…」
「サソリのお話?」
「自分がイタチに食われそうになって 命からがら逃げ出した後、水に落ちて亡くなる時に思うんです。こんなに無意味に死ぬのならば、なんであの時この身をイタチにくれてやらなかったのか?って。そしたらイタチは一日生き延びられたのにって…。自然界では食物連鎖の一つになるのも ひょっとしたら幸せと言えば幸せなのかもしれませんね。」
「…。」
さて どうしましょうか…

そう言えば、今月21日は 賢治の命日。賢治忌ですね…
小さな虫ももちろんですが、私の周りには 本当に沢山の学ばせて頂くべき人がいらっしゃいます。

お日様も陰って来ました。本当ならもうそろそろ歌う時間です。
鈴虫は微かにギッギッと言ったきり…静かな夜です。

☆  鈴虫の昨夜を終に鳴ききりぬ

2015年9月8日火曜日

船で潜りし大鳥居!

今更ながらって感じですが、安芸の宮島…「宮島」っていう島があるんですね?…知らなかった〜!
厳島神社という名前は勿論 存じておりますよ。海の中に大きな鳥居があるんですよね。
平清盛による庇護のもと 発展した神社。清盛が奉納した 豪華な装飾が施された「平家納経」…あおいみみずくはNHK大河ドラマ「平清盛」フリークでしたもの。そこは知ってますよ。
でも 宮島って…宮島(厳島)という島が瀬戸内海にあって、古代より島全体が神様として崇められていた…
「厳島」の語源は「神に斎く(いつく=仕える)島」で、この島こそが神社!へぇ〜(^_^;)

広島駅からJR山陽本線で約30分。宮島口駅下車。
後で知ったのですが、ここの駅前には「うえの」という とっても美味しいあなご飯のお店があるんですって!明治時代創業で この地でしか食べられないそうですよ。お店で食べるには いつも混雑していて 厳しいようですが、駅弁も販売していて そちらも絶品だとか。
お店の前を通ったというのに 知らなかったので 食べ損ねてしまいました…


宮島口駅前の道をまっすぐ進むと、JRフェリーがまるで口を開けているかの如く 待ちかまえていました。運賃は片道180円…安い…(^^;;
乗り込んで待つものの 出航時間が過ぎても一向に出発しない…同じJRなのに、電車と違って 船の時間って かなりアバウト?って思っていたら、「間もなく到着します」とアナウンス…え?動いてたの?
出航の合図もないし 夜だったので景色が見えなかったせいか、動いているという感覚が全く無し。船はまさに油の上を滑るように夜の海を進み、いつの間にか宮島に到着しておりました。
ちょうど満ち潮の時間でしたので  厳島神社のシンボル「大鳥居」が海に浸かっています。


さすが 高さ16m! 堂々たるものですね。
この鳥居は 海底深く埋められている訳ではないそうです。この大鳥居自身の重みや構造によって自立していて、大波にも台風にも倒れることがないそうな…すごいなぁ…
折から吹く海からの風が なんとも気持ち良い…

☆満ち潮に浸かる鳥居や盆の風

今回は満潮時に伺いましたが、干潮時にはこの大鳥居まで歩いて渡れるようです。
どちらがステキかは意見の分かれるところらしいのですが、この様にライトアップされて、海に浮かんでいるかの如き 大鳥居の風情…とても神秘的でした。
でも満潮だからこの鳥居に近づくことができない?…できるんですよね〜
ナイトクルーズ船がちゃんと航行しているんです。クルーズ船っていうか、屋形船ですが…


この船で大鳥居を目指します!
海の参道を通るなんて ロマンチックですよね。
船はゆっくりゆっくり 鳥居に近づきます…そしてくぐりながら見上げる!

☆ 月白や船でくぐりし大鳥居

月白(つきしろ)とは 「月が東の空を昇って行く際、あたりが白んで見える」
というロマンチックこの上ない秋の季語です。
この写真では 日もとっぷりと暮れ、月は昇りきってしまっておりますが…まあそこはご容赦を(^^;;


今回は 夜もかなり更けてからの宮島上陸でしたので、ナイトクルーズのみ。肝心の厳島神社本殿への参拝は叶いませんでした。
残念ではありましたが、宮島口駅前のあなご弁当と合わせて、また行く楽しみが残りましたもの。次回は宮島にじっくりと滞在して 楽しみたいと思います。
もちろん、今回 東京でお留守番だった「いつもお腹を空かせた熊さん」と一緒にね^_−☆