先日 あおいみみずくお気に入りのTV番組、BS朝日「京都1200年の旅」で、京都 宇治の平等院が取り上げられていました。
「平等院鳳凰堂」では平成24年9月から平成の大修理が行われていましたが、尾廊部分は引き続き9月まで修理作業継続ながら、今年3月末日に 屋根の葺き替え・柱などの塗り直しなど あらかた竣工したため、
平成26年4月1日より拝観再開となったようです。
昨年の秋、あおいみみずくが宇治を訪れた時には まさに修理の真っ最中。残念ながら その美しい姿を拝見することはできなかったのですが、修理に入る前年に訪れた際 撮影した写真をみつけました。
屋根に鳳凰を頂いて 阿字池にその姿を映し、岸辺にゆっくりと羽を広げてただずむ気品溢れる姿。
まさに建物自体に命がある…翼を休めに天から舞い降りた鳳凰のよう…思わず見入ってしまいます。
和様文化の真髄ですよね。なんて優雅…
平安時代の遺産「平等院」は、ときの権力者 関白藤原道長が 光源氏のモデルの一人と言われている 源融 (みなもとのとおる )が造ったと言われる別荘を譲り受け、その子 頼通 (よりみち) が 1052年に仏寺に改めたことが始まりです。
後に「鳳凰堂」と呼ばれる阿弥陀堂は、翌年の1053年に その堂内の「阿弥陀如来坐像」・"やまと絵"の描かれた「壁扉画」・52体の「雲中供養菩薩像」・周囲の「庭園」などと共に 現世の極楽浄土として落成されました。
本尊の阿弥陀如来坐像は、当時 最高の仏師と言われた「定朝」の確証ある唯一の遺作だそうです。
平安時代後期は 貴族による大規模寺院の建設が流行っていたそうで、当時の平等院にも多くの堂塔が建ち並んでいたという事ですが、1336年の 楠木正成と足利尊氏による戦いの兵火をはじめ、度重なる災害により堂塔は廃絶してしまったようです。
しかしその中で 鳳凰堂と、観音堂 (鎌倉時代に建設) が奇跡的に災害をまぬがれ 現代に平安の時を伝えています。
建物、仏像、壁画、庭園まで含めて 平安時代後期に建立された寺院がそのまま残存する平等院…
途中、荒廃してしまったものの、約1000年もの長い長い時間、よくぞ残っていてくれたと思います。
上の写真は、あおいみみずくがいつもお世話になっている先輩からお借りしたものです♡
計算し尽くされているのか、どの角度から見ても見事にバランスが取れていて なんという美しさ…
緩やかにカーブした屋根の曲線…
今から1000年も前、平安人(へいあんびと)の完璧なる美意識を感じます。
さすがに傷みも来てはいるようですが、少し朽ちた様子も 時の流れという薄衣を纏った感があり 、はるかな歳をを重ねたからこその 落ち着いた品格があります。
朝、阿字池を挟んで鳳凰堂の対岸に立つと、東に向かって安置された阿弥陀如来の顔は 堂に丸く開けられた窓から射す 陽の光を受けて 金色に輝くとか…見てみたいなぁ…。
庭園の開門は午前8:30ですから、日の出が遅い冬に行けば ひょっとしたらそんな姿が拝めるのかもしれません。
さて、この度の 60年ぶりの大修理によって、建物の表面は 平安当時の技法を使い、暗みのある赤の「丹土(につち)色」で塗り、(TVの画面で拝見すると、赤の色に深みがあり とてもシックで落ち着いた色合いに見えました ) 瓦もいぶしを使わない「古色仕上げ」とし、濃い墨色にして 創建当時にかなり近づけたという事です。
因みに これまでの調査から、平等院が現在のような総瓦ぶきになったのは1053年の創建から約50年後と推測されています。瓦ってそんなに昔からあったんですね…
今回の修理では、当時使われていたとみられる大阪産・河内系の瓦を復元し、約9割の4万5千枚がふき替えられましたが、驚くべきことに 平安当時の瓦がかなり良い状態で残っていたそうで、1500枚ほどは修理後もそのまま使用する事ができたようです。
また、屋根の上に据える青銅製の鳳凰と露盤(ろばん)宝珠は 緑青を落とし 金箔を貼り、かつてあった輝きを取り戻したという事です。
これから先、世界遺産としても後世に遺し伝えて行くものですから、かなりの思い切った修理も必要でしょうね。
「追求できる限り最も古い時代の鳳凰堂を目指し、極楽浄土を再現した姿に近づけたい」
というのが御住職の言葉だそうです。
新たに古くなった(?)現代における極楽浄土…実際に伺える日が楽しみです!
2 件のコメント:
平等院は、建物自体がすばらしい芸術品ですね。
なんともいえない美しさですね。
現代では、ここまでの建造物は、全く無いです(そもそも高額だろうし・・)。
で、色のついた姿も是非みてみたい。
夕日に映えそう。
いや、むしろ朝日に映えるかな。
興味ぶかいですな。
路傍の小石さん、コメントありがとうございました!
スカイツリーや、梅田スカイビル、東京の新歌舞伎座etc…現在では巨額のお金がかかる建築物は、どうしても大規模複合ビルディングなどになってしまうようですね。
後世まで残る芸術的木造建築物の新造は、経済という側面から考えると難しいのでしょう…
経済と芸術と精神と…どれも皆 大切ですが、今の世代も、これからの世代も 人が幸せに生きるために それらのバランスってどうあるべきなのでしょうね…
今から1000年後、私の生きた時代のものが、どれだけ後世に残っているのかな…
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