アラブ音楽の中心となり、現在でもアラブ諸国やトルコなど、広い地域で奏でられている弦楽器です。西欧のリュートの祖先とも言われたり、東方においてはシルクロードを介し、琵琶とも関係が深いとも言われています。(実際に見た目は琵琶にそっくりでした。)
また、旧約聖書に登場するレメクが息子の死を悼み、その亡骸が骨になった姿からウードを考案したという説もあり、ウードという楽器が古くから いかに時を超え愛されてきたのか…本当に楽器の祖先とも言えるものです。
あおいみみずくは 秋の夜 (もう2ヶ月前になるんですね…ついこの間みたいな気がします…)、京都 大原の「宝泉院」という小さな寺院で、この 古から続く、心の響きを持つ楽器「ウード」の調べを聴く機会に恵まれました。
演奏してくだざったのは、常味裕司さんという、日本におけるウードの第一人者です。チュニジアで勉強され アラブ音楽の神髄を持ち帰り、様々な場面で演奏されています。NHK「新シルクロード」の音楽の監修・演奏や、最近では「龍馬伝」などの挿入音楽も演奏されているんですよ。
会場となった宝泉院は、平安時代より声明の聖地、勝林院の住職の坊(宿舎)としての歴史を持っています。
客殿から見渡す庭は柱と柱の空間を額縁に見たてて鑑賞するもので、竹林と大原の里の なんとも言えない静かな風景は、いつまでも立ち去り難く、竹のさわさわいう音を聞くと、心が無限の宇宙に漂っている感覚を覚えます。
秋の 少し肌寒い風が吹く とても静かな夜、客殿で催されたウードの小さなコンサート。
日本音楽のルーツと言われる声明発祥の地で、アラブ音楽の心、ウードの生命力溢れる響きが風に乗って漂います。時折、強い風が吹き、竹の葉がそよぐ音が大きくなります。
ふと見ると、ゆらゆら揺れる竹の隣で 樹齢700年と言われる「五葉松」の古木が堂々たる木肌を見せて 光の中、輝いています。
静寂・瞑想・祈り…その場所は、多種多様なエネルギーが塊になっていました。心の深い所に沁み渡る本当に至福の時間。
たった一日の小さな演奏会。この時間に巡り合った幸せに感謝しかありません。
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