2013年9月30日月曜日

青山の魔宴 最終回 〜吟遊詩人による

(前回からの続き)

そして肉料理が運ばれてきました。ワインは赤になります。新しいグラスに注がれたワインを前に、あおいみみずくは一瞬トランシルバニア地方の逸話を思いだしましたが、白ワイン同様、上質の赤だったのでホっとしました。


すると上の階からけたたましい悲鳴が聞こえてきました。マリネリスとギョームは跳ねるように椅子を立ち、先を争うようにして階上へ駆け上がって行きました。さくらが何か怖い目に遭ったのだと思い、恐ろしくなりました。

しばらくすると、マリネリスとギョームに守られながらさくらが姿を現しました。聞くところによると、さくらは開口部から建造物の中に入ることに成功したものの、天井に吊り下げられた大蛇のオブジェに驚いたとのことです。そしてその大蛇が天井から落ちて襲ってきたと言うのです。

しかしマリネリスもギョームも、大蛇のオブジェは最初と同じように天井にあったと言いました。いったいどちらが正しいのでしょう?そしてさくらは精神的ダメージを受けていないでしょうか。いろいろなことが私の頭をよぎり、混乱しました。



さくらは宝来先生の隣りに腰かけ、震えていました。しかしさくらがキャッチアップするために運ばれた紅白のワイン、前菜、魚料理を前に、落ち着きを取戻して食事を始めました。

そうこうするうちに、さくらも肉料理に追いつきました。私達はさくらを元気付けようと、いろいろな話題を出し、しばらくの間歓談しました。その甲斐あって、さくらは明るい顔を取戻しました。

ワインを飲み切り、デザートに移りコーヒーを飲んでディナーも終わりに近づきました。このまま何事も起きなければ良いのに、と思っていた矢先、何とも名状し難い事が起こりました。

禍々しい絵が掛かっていた周囲の壁が突然消滅し、漆黒の空間が広がったのです。しかも絨毯を敷き詰めた床も消え失せ、同様に暗黒の世界が広がっていました。天井も消え、月も星も無い真っ暗な虚空が見えるだけでした。


あおいみみずくは椅子から転げ落ちました。下方の暗闇に真っ逆さまに落ちてゆくのかと思ったら、身体はそこに床があるかのように支えられていました。さくらと宝来先生は抱き合って恐怖と戦っていました。
禍々しい絵が掛かっていた周囲の壁が突然消滅し、漆黒の空間が広がったのです。しかも絨毯を敷き詰めた床も消え失せ、同様に暗黒の世界が広がっていました。天井も消え、月も星も無い真っ暗な虚空が見えるだけでした。

マリネリスとギョームは必至になって服のポケットをまさぐり、紙片を取り出そうとしていました。そして二人とも何とか紙片を手にすると、恐怖で狼狽しながらも「ンサイタ ウヨリ クア!」という呪文を連呼し始めました。

しばらく目をつぶっていたあおいみみずくが恐る恐る目を開けると、そこはだいぶ前に人が住まなくなったと思われる廃墟でした。私達はその地下にいたのです。そこには厚手の絨毯も、暖炉も、シャンデリアも、絵画も何もありませんでした。ただただ廃材があちこちに散らばっているだけでした。


そこには私を含め4人が立ちすくんでいました。マリネリス、宝来先生、さくら、そして私・あおいみみずくです。何とギョーム・サボリネールの姿がありません。念のためあちこちの廃材を持ち上げて、下敷きになっていないかと探したのですが、ギョームはどこに消えたのか、見つかりませんでした。

マリネリスは「ギョームは悪霊の邪気にあてられ、4次元の世界に封じ込められたらしい」と言いました。「彼は死んだわけではない。しかしこの世界とは別の世界で囚われの身となってしまったのだ」と説明を加えました。

私達4人はその妖異なる場から逃れ、自宅に戻り、これまでの生活に戻りました。正義の経理マン、テッツ・パーカスも退院し、普段の生活に戻ったそうです。しかしギョーム・サボリネールだけは未だに行方不明です。でもいつか彼も培った法力を駆使し、この世界に戻ってきてくれると信じています。

私達の冒険はまだこれからです。なぜなら現在は「月島ロケット」の構想がやっと絞り込まれてきた段階なのですから。構想を固め、サロン「月島ロケット」を開設し、営業を始め、そこでメンバーが妖術を尽くしてギョームを救い出すのが今後私達に課せられた命題であり試練でもあるのです。

ギョームよ、待っていて下さいね。


おしまい

2013年9月27日金曜日

青山の魔宴 3〜吟遊詩人による

(前回からの続き)


その「使いの者」に促されて、私達4人はいよいよ会食の会場へと案内されました。待合室を出て廊下を進むと、両側の壁面には多くの絵画が架けられていました。そしてそれらは待合室で観たのと同じように邪悪な雰囲気を漂わせていたのです。


廊下の途中に設置された大理石の彫刻も禍々しいオーラを放っていました。そのうちの1つはある種の動物を彫ったものに見えましたが、この地球上のいかなる生物にも似ていませんでした。

ペンギンのような足に海綿状の胴体が乗っており、上のほうには長く鉤爪の付いた触腕が伸びているのです。そして最悪なことに、頭のあるべき所には海百合のような物が蠢いていたのです!

神経を逆なでするような廊下を通り抜けると、そこはダイニングルームでした。待合室よりもさらに美しく、落ち着いた暖炉、厚手の絨毯、きらびやかなシャンデリア、高価な絵画などが目に入りました。そして、案の定、この場所の幾何学も、この世のものではなかったのです。

私達4人は6人掛けの丸テーブルに案内されました。当初6名で申し入れしていたので、6人用のテーブルが用意されたのでしょう。しかしそのうちの1つはテッツ・パーカスのために置かれたもので、その座り手が来場しないことは誠に寂しい限りでした。

そしてもう一つの空席は、若手女性エンジニアのさくらのためです。さくらはいつ来るのでしょうか。そして建物に辿り着いたとしても、どうやって中に入るのでしょうか?しかし今はさくらの事を心配する心の余裕がありません。これから始まるであろう邪悪な宴のことを考えると・・・。

すると、いったん姿を消していた先ほどの「使いの者」が再び現れ、私達のテーブルにやって来ました。どうやら彼はウェイターも兼務しているようです。そして食前のワインについて話し始めました。


あおいみみずくは、
ワインと聞いた瞬間、赤ワイン、そしてヴァンパイアを想像して身震いしました。しかし「使いの者」は静かな口調でシャンパン、あるいは普通の白ワインという選択肢を説明していました。ワインに詳しいマリネリスは白ワインを選び、「使いの者」はうやうやしくお辞儀をして立ち去りました。

私がこんなに恐怖心を高めているのに、飲むのが好きな吟遊詩人は「早くワインが来ないかな」等と、この雰囲気にそぐわない事を口走っていました。もっともそれは、震える心を隠す手段だったのかもしれません。一方学究肌の宝来先生は、私と同様、怖かったのでしょうけど、恐怖心を抑え静かな笑みを浮かべていました。

そうこうするうちに「使いの者」が再び現れ、手にしたワインを4人のワイングラスに順番に注いで回りました。この地下世界ではレディーファーストが定めらしく、最初に私にサーブしてくれたのが嬉しく、恐怖におののく中で清涼剤を得た感じでした。そしてそのワインの味は格別でした。


そして前菜が運ばれてきました。季節の野菜、生ハムなどが美しくアレンジされ、食欲をそそりました。これはバッハのポリフォニー作品の如く絶妙の構成感を具現しているようでした。美味の白ワインの力もあり、私達は恐怖を忘れてひと時、食事を楽しみました。

次は魚料理に進みます。「使いの者」は食事プレートをサーブした後、追加された白ワインを再び各自のワイングラスに注ぎ回りました。その時です。マリネリスのスマホの着メロが鳴ったのは。若手女性エンジニアさくらが入口に到着したのです。

マリネリスは私達が入った時と同じ呪文「ルブン サンア ヤチル カスロク、マ ゴケ ラヒ」をさくらに伝えました。果たしてさくらはその呪文を正しく用い、開口部を開くことができるでしょうか?

2013年9月25日水曜日

青山の魔宴 2 〜吟遊詩人による

(前回からの続き)

さくらは1時間ほど遅れるというので、玄関前に到着したらマリネリスかギョームに電話するという取り決めをしました。それにしても、目の前には開口部が無く壁が広がっているだけです。私たちが中に入れたとしても、後から来るさくらはどうするのだろう、と心配になりましたが、ギョームは入り方を教えるとだけ言って口をつぐんでしまいました。

するとマリネリスは、服の袂から羊皮紙のような物を取り出しました。それは古文書で、あおいみみずくが今まで見たことがない風変りな文字が使われていました。マリネリスは、その古文書を見ながらルブン サンア ヤチル カスロク、マ ゴケ ラヒと呪文のような言葉を発しました。すると驚いたことに、目の前の白い壁がすーっと左右に動き、開口部が現れたではあませんか。


マリネリスとギョームは何事もなかったかのように平然と中に入って行きます。宝来ミナもそれに続きました。あおいみみずくは、怖くなり入るのを躊躇しました。この瞬間が、あおいみみずくにとって最後の逃げるチャンスだったのです。ああ、あの時、きびすを返して青山通りを走り出していれば、あんな怖い目に遭遇しないで済んだのに。後悔先にたたずと言いますが、あの一瞬が、まさにその通りの状態だったのです。

マリネリスの手招きに応じて建造物の中に入ったあおいみみずくは、一瞬ではありますが、空気に邪悪なものを感じました。具体的にそれがどんな感じだったかを言い表すのは困難です。しかし、建造物と内部の空気の全てが私を拒絶している、いやもっと悪いことに、私達を陥れようと逆に招致しているような、そんな印象だったのです。オリンピックの招致なら歓迎しますが、このような招致は背筋を寒からしめるものでした。


この名状し難い違和感が通奏低音のように付いてまわるのは辛いことでした。 ふと上を見上げると、入口に鎮座していた大蛇がこんどは天井から吊り下げられているではありませんか。そして、わずかではありますが、その蛇が身を震わせたように思いました。

あっと言ってマリネリスを見ましたが、別段変わった様子は見せませんでした。彼はたまたま見ていなかったのでしょうか、それとも鈍感なので気付かなかったのでしょうか。あるいは、これは最悪ですが、わかっていてわざと知らないふりをしていたのでしょうか。

以上のような疑惑があおいみみずくの頭をかすめましたが、ここでうろたえるわけにもいかず、仲間の後に続きました。するとマリネリス達は、階段を降り始めました。暗くてよく見えなかったのですが、その階段は狭くて暗いうえに、何らかの滲出物に覆われ、滑りやすくてとても危険でした。


私達4人は何とか下の階に辿り着くと、そこには待合室のような部屋がありました。厚地のペルシャ絨毯を敷き詰め、暖炉をしつらえ、壁面には高価な絵画が何枚も飾られ、天井からは豪華なシャンデリアが下がっていました。長椅子などの調度品も見事なものでした。

しかし、そのような上流社会を思わせるたたずまいの中に、何か心騒がせられるものが感じられました。まずは壁面の作りが奇妙でした。ユークリッド幾何学を無視したとしか思えない奇妙な角度を形成していました。そして空気には微かな震えがあり、その振動が邪悪なるものを呼び寄せる祈祷に聴こえるのでした。

また壁に架けられた絵画も、どことなく精神に悪影響を及ぼすものでした。例えば美しい貴婦人を描いた人物画が最悪でした。スーパーリアリズムの手法により写真かと思えるほど微細に女性の姿を捉えているのですが、やはりそこには幾何学上の「ずれ」が見られました。微細ではありますが、エル・グレコの宗教画のように身体がデフォルメされているように見えました。またその眼差しは、私達が移動すると追いかけてくるようにさえ見えたのです!


4人はそのような恐怖と戦い、ソファに腰かけることもせず棒立ちのまま待ちました。どれほどの時間が経過したでしょう。あおいみみずくには、それが百年もの歳月に感じられました。そしてようやく案内の者が姿を現したのです。

その人物を一目見て、あおいみみずくは違和感を感じました。整った顔立ちで、きちんとした服を着こなす男性で、優しく優雅に振る舞っていたのですが、どことなく「外の人間」と感じられたのです。「外」というのは外国という意味ではありません。それならいいのですが、この地球(テラ)の外という意味です。

2013年9月23日月曜日

青山の魔宴 1 〜吟遊詩人による

お待たせいたしました!吟遊詩人さんから原稿が届きました。
いきさつについては、9/19の「秘密結社 月島ロケット」の回をお読み下さい。
送って頂いた原稿に、あおいみみずくが手持ちの写真を挿入させて頂きました。
連載回数は、4回〜5回を予定しています。
それでは「青山の魔宴」 お楽しみ下さい。


登場人物(筆者を除き登場順)
マリネリス:笛吹く社長
ギョーム・サボリネール:吟遊詩人
宝来ミナ:科学ジャーナリスト
テッツ・パーカス:正義の経理マン
さくら:若手女性エンジニア
あおいみみずく:筆者


あの夜、あおいみみずくは恐ろしい体験をしました。地下深い秘密の集会所での魔宴に潜入したのです。いまこうして無事帰還し、平和にブログを書いていられるのが何とも不思議です。いったいどうやってあの狂乱の場から逃れたのか、その過程が記憶になく、心がまだ静まりません。

そもそもの発端は、友人の中でも際だって妖異なる笛吹き社長マリネリスからの誘いでした。青山墓地の近くに面白い所があるから食事に行こうという赤い蝋で封印した手紙をよこして来たのです。あおいみみずくは、一瞬胸騒ぎがしましたが、好奇心に負けて出かけることにしたのです。あのような恐怖が待っているとも知らず・・・。


約束の時間少し前に指定された場所に着きました。そこは、ある要人の居所だというのですが、何となく変わっていました。立派な建築物ではあるのですが、全体が少し歪んだ感じがして、私達が習い覚えた幾何学とは異なる秩序を表していました。

そもそも玄関先からして異様でした。そこには巨大な蛇をかたどったようなオブジェが横たわっていたのです。まるでこれから入ろうとしている魔界への開口部を守護しているかのように。その、のたうつ姿は、今にも私達に襲いかかってきそうでした。

もっと面妖だったのは、この建物には私達が思う入口が見あたらなかったことです。先に玄関と書きましたが、何となくそこが玄関だと感じただけで、実際には平たい壁面が立ちふさがっていたのです。いったいどこから、どうやって入るのでしょうか。あおいみみずくは不安がつのってきました。


そこへ颯爽と登場したのがタキシード仮面、いやマリネリスでした。いつの間にか、その相方である吟遊詩人ギョーム・サボリネールも姿を見せていました。そして間もなく科学ジャーナリストの宝来ミナが現れました。筆者あおいみみずくを含め、これで4人揃ったわけです。

集まることになっていたのは6人なので、2人足りません。どうしたのかと心配していたらマリネリスのスマホの着メロが鳴り響きました。減七の和音を多用した不安をかきたてるような音楽で、どことなく悪魔的な旋律でした。その音を聴いただけで、私の不安はさらに高まりました。

マリネリスによると、招待していた経理マンのテッツ・パーカスが原因不明の急病で倒れ、病院に搬送されたということでした。会社でパソコンに向かって帳簿のチェックをしていた際、キーボードに顔をうずめて動かなかったそうです。

彼は真摯なる経理マンであり、不正を憎み、正義を貫く人間です。今回の集会にいてくれたら、襲い来る怪異をはねのけてくれたかもしれなかったのです。これは単なる偶然でしょうか、それとも何かの「意志」により彼の参加が阻止されたのでしょうか?

するとこんどは吟遊詩人ギョームの携帯が鳴りました。彼はマリネリスと対極にあるローテク愛好家で、未だに型おちの携帯電話を愛用しているのです。ギョーム曰く、若手女性エンジニアのさくらが業務多忙で遅れて来るということでした。
さくらの遅刻に関しても、何らかの邪悪な意志の力が作用していたと思いましたが、ギョームは特に変わった表情はしておらず平静でした。あるいは平静を装っていたのかもしれませんが・・・。


2013年9月21日土曜日

地上12階のトロピカル

前の記事「月島ロケット」からの流れで…

地下の秘密結社からやっとの思いで生還を果たしたあおいみみずく。(どうも吟遊詩人さんにお願いした原稿は ちょっぴりホラー仕立になってるらしいので、合わせます)
その二日後には、地上12階にある 「フレンチ&アジアンキュイジーヌ レストラン」で美味しい料理に舌鼓を打ちながら、不定期会合の師匠達に囲まれて 回想に耽っておりました。(この師匠達の事は8/22重要な不定期会合の記事を参照してください)
今回は大師匠もお見えになり、相変わらずのその鋭い舌鋒で、出席者はタジタジ…
先輩師匠は渾身込めたセッティングを シミュレーションも含めて完璧に遂行し、それには もう本当に感動すら覚えます。これぞまさに「お・も・て・な・し〜♡」

場所は、東京 渋谷「ザ・レギャン・トーキョー」
レストラン専用エレベーターで直行。地上12階の扉が開いた瞬間、そこはトロピカルの楽園!
南国フルーツと デンドロビュームがそこかしこに飾りつけられ、窓の外にはキラキラ光る水を湛えたガーデンプールが見えます。馨しい香りが鼻を擽ります。
先日の怪しい世界から生還したばかりのあおいみみずくは、この二つの世界のギャップに もう 呆然 …師匠達のお話を、ただただ拝聴しておりました。
しかし、たとえあおいみみずくが押し黙っていたとしても、大師匠には、人の深層を瞬時に探り当てるといった特殊な能力がおありになります。
どうあがいてもみみずくは見透かされてしまうのです。
ひょっとしたら秘密結社のことも見透かされているのかもしれない…。
戦慄を覚えながらも「ホ・ホーっ」とすっとぼけてみせていたあおいみみずく。ドキドキしながら会合を終え、羽を傷めた子みみずくのように震えながら帰路に着きました。

ここ数日は異次元の世界を行ったり来たり…次元の異なる世界が、実は折り重なり 混在しているという「解」を、実際に垣間見たような気がする、不思議極まりない数日間の出来事でした。


2013年9月19日木曜日

秘密結社 「月島ロケット」 追記あり

今夜は中秋の名月です。中秋とは秋の真ん中のことを指します。旧暦の秋は7月、8月、9月なので、秋の真ん中は8月15日。つまり中秋の名月とは、旧暦の八月十五日の夜の月。「十五夜の月」とも呼ばれます。そんなわけで、この日の月は必ずしも満月というわけではありません。たまたま今年 2013年は満月でしたが、次の中秋の名月が満月に当たる年は、今から8年後の2021年だそうです…って訳で、今夜はかなり貴重な中秋の名月です。
図らずも そんなレアな日の前日、「秘密結社 月島ロケット(仮称)」の第二回会合が催されました。
この会合は昨年、田園調布の とある豪邸の一室で産声をあげました。
もともとは、
「日本には、"そこに集う様々なジャンルの人々が好きな日、好きな時間に出入りしながら、思いっきり自由闊達に議論を交わす"といった、いわゆる「サロン」みたいなものが無いよね。そういう場所、欲しいよね。」
という酒飲み話から始まりました。
そしてその場所は月島に決定\(^o^)/…?どういったイキサツで月島なんだったっけ…?忘れちゃいました…
発足時のメンバーは、「笛吹く社長・吟遊詩人・作家・科学ジャーナリスト・物理学者・何故か あおいみみずく」の面々。
第二回目の今回は、残念ながら作家と物理学者は欠席でしたが、新たに若手女性エンジニアが加わり、東京 青山一丁目の会員制レストラン「ロビンスクラブ」において摩訶不思議なめくるめく世界が展開されました。いつの日か、自前のサロンができるまで、流浪の民です…
秘密の会合の一部始終を ホントはあおいみみずくがご紹介したいのですが、みみずく、すっかり会合の毒気に当てられ、ついでに秋バテ。思考停止状態。そしたらさすがにこのサロン!秘密結社仲間の吟遊詩人のゴーストのライター(ゴーストライターではないですよ^ ^)が、記事を連載してくださる事になりました。原稿が揃ったら皆様に「青山の魔宴〜吟遊詩人による」という題名でご紹介します!面妖なめくるめく世界の物語を それまで楽しみにお待ちください。
連載期間中 あおいみみずくは、ちょっと遅い夏休みを頂き、思考力の回復に努めます\(^o^)/
あ、でも、なにぶん吟遊詩人は気まぐれ詩人。連載開始日は未定です。が、近いうちに必ず!


追記
友人から「月島は地名だとわかるけど、なぜロケットなの?」と、問われました。
ロケットは、科学の粋を集めたものです。
今回のロケットという言葉には、
「人々の英知を集めたもの」という想いを込めました。
そんなサロンになるといいな。ということでの「月島ロケット」です。

2013年9月17日火曜日

2013 イグ・ノーベル賞

先日(9月12日) アメリカのハーバード大学で、人を笑わせ、考えさせられる研究に送られるという「イグ・ノーベル賞」の授賞式が行われました。
今年の「医学賞」は 「心臓移植したマウスにオペラを聴かせると生存期間が延びた」との実験結果を発表した、帝京大医学部の新見正則さんら、7人のグループ。
その論文はこちらです。
心臓移植手術をしたマウスは免疫を抑制しないと拒絶反応が起き、平均7日で死んでしまうんだそうですが、移植後7日間にわたりオペラを聴かせると、生存期間が延びたそうです。
一番効果があったのが、ヴェルディのオペラ「椿姫」で、平均で26日間!ベルリンフィルのモーツァルトなら20日間。エンヤのベスト盤だと11日間だったそうな。長生きしたマウスの体内では、免疫を抑制する細胞が増えていたんだそうです。…人間でも同じなんでしょうかね…?
でも何故に椿姫…?

あおいみみずくはジェームス・レヴァイン指揮、テレサ・ストラータスと、プラシド・ドミンゴが主役を務めたフランコ・ゼッフィレッリ美術・監督の「椿姫」のDVDを持っています。
このDVDは 映画仕立てになっていて、オペラ入門の方々も すんなり入れますし、入れるどころか夢中になる事、請け合いです。何より映像が綺麗!セットもドレスも素敵だし、主役のヴィオレッタを演じるテレサ・ストラータスが雰囲気も容姿もヴィオレッタそのもの!オペラ歌手は体格の良い人が多いのですが、主人公 ヴィオレッタは最後、肺結核で亡くなります。なので、歌は素晴らしくても 元気そうなヴィオレッタだと 何となく違和感が…「私は死んでしまうのよー!」と、最後、朗々と歌われても「嘘だろー!」ってなっちゃうもの。その点においても テレサ・ストラータスは完璧!相手役のアルフレードを若かりし頃のプラシド・ドミンゴが演じ、これまたかっこいい!
このDVD、みみずくコレクションの中でも最高の一枚です!
ただ あまりにも全てがはまりすぎていて、あおいみみずく自身 感情移入してしまい、最後必ず号泣してしまいます。
結末はわかってるんですよ。ヴィオレッタが肺結核で亡くなるんです。わかっていても…号泣!今回は泣くまいぞ!と思っても…号泣…
なのになぜ、マウスは元気?…この世は謎に溢れています。 

2013年9月15日日曜日

歌曲の夕べ

昨日、あおいみみずくは「歌曲の夕べ〜遠藤隆史門下生による〜」にて、伴奏者の一員としてお手伝いさせて頂きました。
回を重ねる度に、生徒の皆さんの声が、まっすぐに 会場の後ろまで届く感じになっているのが実感できます。やはり、続けるという事は大切ですね。
2013年はワーグナーとヴェルディ生誕200年です。
そういうこともあって、今回の会は、両作曲家のオペラからの曲もプログラムに加わり、バラエティに富んだものとなっていて 楽しめるものでしたし、あおいみみずくは久しぶりのお友達にも会えて、色々お喋りもでき、とても嬉しかったです。
ところで、先日 遠藤さんと「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の伴奏合わせをした時、
「オーケストラ部分をピアノ伴奏に直した市販の楽譜が、あまりにも音が多く、ゴチャゴチャした感じだったので、自分で伴奏部分を書き直したんだよね。」とおっしゃってましたが、それを最初から聞いていたら、もっと有り難味を噛み締めて練習できたんですけどね…σ^_^;あ、ひょっとして、「タンホイザー」も書き直したのかな?
ワーグナーオペラは音が重厚ですし、音型もかっこいいので楽しめますが、演奏する側としては、コントロールが大変です。どんどん突っ込んでしまうというか、暴走したくなってきちゃいます。
そこに「アガル」という要素が加わり抑えが効かなくなってしまいがちなんですよね…
「アガル」って、本当に厄介ですよね。筋肉も硬直するし…
重力がこんがらがって、上に引っ張り上げられてジタバタする感じです。
でも、「アガル」感じが全くないような、落ち着き払った演奏っていうのも、つまらないですし…
気持ちを高ぶらせつつ、重心が下にドンとあるような、しかも身体がリラックスしている演奏がいつもできたらな…って思う、今日この頃です。

2013年9月13日金曜日

緻密であるということ

今週の日本は、オリンピック招致成功のお祝いムードでいっぱいでしたね。
招致委員の方々が日本に帰っていらっしゃって、「招致の舞台裏」をお話しになっているのをTVで拝見する機会が多かったのですが、その方々は一様に「緻密な戦略と、練習に練習を重ねた成果です。」と おっしゃっていました。
特に、最終プレゼンテーションでは、身振り手振りは勿論のこと、抑揚、拍手のタイミングや長さ等も計算して しっかり練習されたようです。
さらにあおいみみずくがびっくりしたのは「プレゼンターのまばたきを入れる位置」まで緻密に計算、練習したという事実!
オリンピック請負人と言われる敏腕コーディネーターのもと、一人ひとりが職人となってそれぞれの役割を緻密にこなし、きっちり積み上げる…日本はこういうところ、何処にも負けませんよね。

ところであおいみみずくは、「緻密」や「精密」という言葉を聞くと、京都の「開化堂」という老舗の茶筒のことがいつも心に浮かびます。
京都の一角にある小さな作業場。そこで熟練の職人の素晴らしき技がぎっしり詰まった茶筒が、手作りで生み出されるのです。
蓋を閉継ぎ目に合わせ、ただ乗せるだけ。そうすると、スーっと。本当にスーっと引っかかる事なく、空気を追い出しながらゆっくり完璧に閉まります。
この茶筒に入れているお茶は、全くと言っても過言でないほど湿気ません。
ブリキのものにしても、真鍮のものにしても、孫子の代まで使えますし、万が一歪んだ時は、綺麗に修理していただけます。
以前、京都のお店にお邪魔した時、そこの息子さんが応対してくださり、
「使えば使うほど、良い色になるんです!毎日つかって、手で撫で回し、素敵な色に変えていってくださいね。」
と言われました。
お茶を飲みながらの一家団欒。そこに昔から伝わる古〜い茶筒が何気なくちょこんとあって…思わず和む風景です。
この茶筒にはとても大きなサイズの物もあり、シリアルも入ります。コーヒー 用にも紅茶用にもサイズは豊富!何でも来いです。
緻密で精密な日本の職人技。オリンピックを契機に、もっともっと海外の人に知ってもらえると良いですよね!